名のない足跡
†††
あたしとライトは、アズロを連れ、各部をまわっていた。
いわゆる体験入部みたいなのを、やってもらったんだけど…。
体験入部その一:書籍部
「うあー、ムリムリ。頭割れるって、こんな仕事」
その二:戦闘部
「うわっ、この剣重ッ!!…え、練習用?ダメだオレ、超非力」
その三:伝令部
「秘密主義?絶対守れねーよオレ。口軽いから」
その四:商連部
「交易って、駆け引きだよね。向いてねーわ。単細胞って辛いんだよね」
……………。
「も―――ッ、どこもダメじゃないッ!!」
商連部から出た瞬間、あたしは叫ぶ。
アズロはというと、へらへらと笑っていた。
「オレ、ほんと才能ねーよなー。軽くヘコむね」
「顔は全然ヘコんでないけど。…ねぇアズロ、特技とかないの?」
はぁ、と呆れながらも試しに聞いてみると、答えはすぐに返ってきた。
「あー、特技?小さい頃、護身術習ってたけど」
その言葉に、あたしより先にライトが反応する。
「本当ですか?…それなら、護衛部に来ますか」
「護衛ー?何する仕事、ソレ」