名のない足跡

†††


あたしが、はずれればいいのに、と思う予感(つまり嫌な予感)は、大抵当たる。


それはもう、悲しいほどに。



窓ガラス事件から早二週間。


この二週間の間、絶えず事件は起こり続けていた。


軽く言ってるけど、事件そのものは、もう大事件。



何てったって、あたしの命が狙われているのです!!



弓矢を射られたり、毒盛られたり(ライトが臭いで気づいた)、罠仕掛けられたり…。


未だに犯人がわからず、近頃ライトは不機嫌。


護衛の位置を変えたり、増やしたりしてるのに、犯人はあっさりとその監視の目を抜けてしまう。



あたしが今ここにいれるのは、正直ライトとアズロのおかげだと思う。


二人は本当に反応が速くて、近くにいるこっちが驚いてしまう。


ついさっきも、廊下を歩いていると、弓矢が窓を突き破って飛んできたところだった。


「あ~、もう。何なのよ…。修理費バカになんないのにッ」


あたしは、壁に刺さっていた矢を引っこ抜き、半分に折った。


「え、そこなの?自分の命の心配じゃなく?」


アズロが冷静に突っ込む。


背中の傷は、すっかり完治したらしい。




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