名のない足跡
ウェルスではさ、王と面接があるんだ。そんときオレは、何でもいいので仕事下さいって言ったんだ。
お前は何が出来る?って聞かれて、護身術ならって答えた。
そしたらウィリー王は、特別な仕事をやる気はないかって言うもんで、"特別"なんて言われたら、誰だって飛びつくだろ?
少なくともオレは返事まで、0.1秒もかからなかったね。
その特別な仕事の内容は、時が来るまで明かされないと聞かされてた。
オレを含め、その仕事のメンバーは五十はいたな。
でもみんなヤバそうな雰囲気出しててさ、オレは誰とも関わらなかったんだよね。
それから、しばらくはトレーニングが続いた。
いーかげん飽きたなーって頃、ついに仕事内容が明かされた。
そう、それが君の暗殺。
その命令が下された後、十人ぐらいのグループに分けられて、それぞれが順に君の暗殺計画に従った。
オレは第一陣で、ウェルスを出た。
そもそも、他国の王女を殺すなんて、そんなこと出来るかっての。
正気かよウィリー!?ってオレ思ったもん。