名のない足跡
でもさ、一番最初に狙われた時あったじゃん。
あの時、窓の外に誰かいて、何かを投げたとき、とっさに体が動いちゃったんだ。
放っといたって、別に構わなかったわけじゃん?オレに損はないんだしさ。
なのに、痛い思いしてまで、オレは君を庇った。
つまり、そういうこと。
「…そういうこと、って?」
一気に話し終えたアズロを見て、あたしは聞くと、アズロは少し照れくさそうに言った。
「だから、オレは君に生きててほしいってコト」
完全に、ウィンとライトの緊張がとけたのが、見てとれた。
あたしは、少し呆然としてから、ゆっくりと切り出した。
「…あたしは、ウィリー王に命を狙われてるってことよね」
「そーだね。でもあのヒトもバカじゃないし、失敗続きだったら考え直すんじゃない?」
「つーか、そんなにペラペラ話していいのかよ、お前」
ウィンの言葉に、あたしはハッとする。