名のない足跡
おととい、集会が開かれ、ウィリー王がルチル女王の殺害を企てているということが、城内の全ての者たちに知らされた。
城内の警備は、より一層厳しくなり、空気はピリピリとしている。
ところがというと、当の女王は、誰よりも警戒してなさそうに見えるのは、あの子らしいといえばそうだろう、と誰もが頷いた。
ああ見えて、ルチル女王は、多くの信頼を得つつあった。
よって、臣下たちの『女王様をお護りするぞー!』という気合いは、高まってきている。
「…流石だな、デュモル。話が早い」
「考えっつってもなー。いつかはやるだろうとは思ってたけどさ」
大きく伸びをしながら話すデュモルに、セドニーは言った。
「これは、私の考えなのだが…。おそらくウィリー王は、フォーサス・サヴァ・ネスタの対談が行われたことを知ってから、行動に出たと考えられる」
「ん?まぁ、そーだよな」
「では何故、ウィリー王は今頃になってそんなことを考えたと思う?前国王がお亡くなりになられてすぐの方が、計画を実行しやすいのに」