名のない足跡

「逆に、見てはいけないものを見てしまったなら、自分の命を絶てば、そのことは誰にも知られることはない」


うんうん、と納得しながら話すセドニーに、デュモルもなるほど、と納得した。


「そこで思い出してほしい」


ウィンが人差し指を立て、自分の頭を軽く叩く。



「前国王は、自殺したとき、どこにいた?」



セドニーとデュモルが、ほぼ同時に呟いた。



「…宝庫…」



けれどそこで、ウィンは首を横に振る。


「厳密にはそうだが、見たものを知られない為に自殺すんのに、わざわざ見たものの前ではしねぇだろ?」


「…なるほど、ということは…」


「へーえ。やるねぇ、ウィン」


二人の顔を交互に見て、ウィンは頷いた。





「何かあるぜ。…城の地下に」







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