名のない足跡
「それでっ…それでセドニー長官は了承したんですか!?」
あたしが机に手をついて立ち上がると、ロードさんは焦って言った。
「落ち着いて、ルチルちゃん。キラ長官には何か考えがあって…」
「だって、そんなのひどすぎますよ!! ロードさんは…」
「ルチルちゃん!」
ロードさんが声を張り上げたので、あたしは口をつぐんだ。
「…いいの。あたしは長官になりたかったわけじゃないの。キラ長官のそばにいたかっただけなの。…わかるでしょ?」
十分すぎるほどに、ロードさんの気持ちがわかったあたしは、小さく謝った。
「すみません…。それで…ダン隊長って人は?」
「キラ長官が亡くなったショックで、退職したわ。今もきっと、どこかで暮らしてると思う」
「そうですか…全然、知りませんでした」
あたしがうつむくと、ロードさんは笑った。