名のない足跡

挑戦的な視線を向けられたセドニーは、フッと笑った。


「別に、時が経つことは、必ずしも悪いことじゃないな、と思っただけだ」


「…はあ?意味がわからん」


「お前は単細胞だからな、わからないのも無理はない」


「んだと、テメッ…、あ、待てコラ!!」


すたすたと歩きだしたセドニーを追って、デュモルは走った。


花の横に添えられた一枚の写真が、風に乗って空に舞った。





十年前の、笑顔と共に。








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