名のない足跡

「どうして、急にいなくなっちゃったの?すっごいショックだったんだからっ…!すぐ戻ってくるって信じてたけど、三年間何も連絡なしってひどいよ!父様が、し、死んじゃった時、一番近くにいてほしかったのは兄様だったのに…!相変わらず連絡くれないし、あたしは王なんか任されちゃうし、こんな時に兄様がいたらって、あたし…何度も…」


最後の方の言葉は、溢れ出る涙に遮られた。


兄様がそっと立ち上がり、あたしの体を優しく包み込んでくれた。


懐かしい、兄様の匂いが漂う。



「…ごめんな、ルチル」



ポツリと兄様がこぼした言葉に、あたしは唇を噛みしめる。


「そんなんじゃ…許さないんだからっ…!」


兄様がいなかった三年間の穴は、そんな言葉じゃ塞ぎきれない。


大丈夫だなんて、ただの強がりだった。



兄様は、そっとあたしの肩をつかみ、体を離す。


「どうしたら…許してくれるんだ?」


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