名のない足跡
答えはわかっていながらも、あたしは少し間を開けてから答える。
「…情報収集?」
「正解。下っ端の方が、意外と情報入るんだな。とにかく、父さんはウィリーが何か企んでると見て取り、俺たちをアイツの手元に置いたんだ」
「企んでる…ウィリー王が?」
「そう。父さんは、自分の命が狙われてるかも、とも言ってた。…待てルチル、でも今回の父さんの死はアイツが何かしたんじゃない。少なくともアイツは驚いてたからな」
あたしが怒って立ち上がろうとしたのを、兄様が抑える。
でも、あたしは納得が出来ずに文句を言う。
「…何で?何で父様は死んじゃったの?何で狙われてたの?」
「落ち着けってルチル。父さんは言ってた。このフォーサス国には、"秘密の兵器"があるって」
あたしは、その聞き慣れない言葉に眉をひそめる。
「…秘密の兵器?」
「父さんが言うには、それは大国が三つは消えるほどの威力を持つ核兵器らしい」
「大国、が…三つ…!?」
あたしは、その事実にただ呆然としていた。