名のない足跡

「代々の王が、何か鍵を握ってることをアイツは知ってたんだ。そして父さんが死んだことを知って、半ば諦めたんだろう。けど、アイツは父さんの死に疑問を抱いた。俺たちと同じようにな」


「それで…ウィリー王は、知っちゃったの?…地下に何かあるって」


絶望的な気持ちになりながらも、あたしは兄様が首を横に振ってくれるのを待った。


けど、兄様の答えは、絶望を裏付けるものだった。



「…そう。知ったんだ」



うなだれるあたしを見て、兄様はでもな、と続けた。


「変だと思わないか?何故、ウィリーはそこまで知ることが出来たのか」


「………」


あたしは、すぐに顔を上げた。


嫌な予感が、頭をよぎる。


そしてやっぱり、その予感は当たってしまう。



「きっと身近にいる。ウィリーと親しい誰かがな。…これが、キツいかもって言った理由」



あたしは、虚ろな目で兄様に訴える。


「兄様…あたし…やだよ…ッ」




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