名のない足跡

†††


今日は、12月25日。


待ちに待ったクリスマス…



そして、あたしの誕生日!!



最近、嫌なこと続きだけど、今日くらいは思いっきり楽しみたい。


冷たい空気の中で震えながらも、あたしはベッドから起き上がった。


「ん~…」


大きく伸びをしていると、ふと窓の外に目がいった。



「…うわぁ、ホワイトクリスマスだ…!!」



フォーサス国に、真っ白な雪が降り注いでいた。


しばらく、降り積もっていく雪を眺めていると、扉が小さく叩かれた。


「あっ、ライト?」


「いいえ、ミカでございます」


そう言って食事を運んで来たのはミカで、あたしは顔を赤くした。


そんなあたしに、ミカは優しく笑いかけてきてくれた。


「ルチル様、バレバレですもの。隠していただかなくても、結構ですわよ?」


…あたしはこのとき、一体この城の中で何人が、


あたし+好き=ライト


の方程式を知っているのかと、本気で知りたくなった。




< 215 / 325 >

この作品をシェア

pagetop