名のない足跡

「どうぞ」


目の前に差し出されたのは、小さな箱。


あたしは目を見張って、小さな箱を、そしてライトを見た。


「…え?これ…」


「プレゼントですよ?…受け取って下さい」


あたしは嬉しくて、涙が出そうになった。



今までの誕生日は、ライトからのプレゼントは何もなかった。


…ってゆーか、あたしがいつも断ってた。



護ってもらえて、そばにいてくれる。


それだけで、十分だったから。



震える手で、箱を受け取り、蓋を開けた。


そこには…



「…あれ…箱?」



なんと、また箱。


あたしが困ってライトを見ると、ライトは微笑んだ。


「そんな顔しないで、もう一度開けてみて下さい」


よくわからないまま、二度めの蓋を開けると…



~♪



静かに流れ出した音が、辺りに溶け込む。



「…オルゴール…?」



あたしはとライトは、その音が鳴り止むまで、静かにたたずんでいた。


「…姫様、泣くほど嬉しかったですか?」


「へ?」





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