名のない足跡
「大丈夫だって、言ったでしょう?」
「…うんっ!」
ライトの微笑みに、あたしは元気よく頷いた。
そして、三階にある、執務室へと向かった。
執務室へ辿り着くまでは、不気味なほど静だった。
あれだけの爆発音や悲鳴を、始めから知らなかったように、城中は静寂に包まれていた。
再び不安を感じ始めたあたしは、横目でライトを見た。
ライトも同じように、不安を噛みしめているような、そんな表情をしていたことに、あたしは気づいた。
…ライトも、同じ気持ちなんだ。
あたしだけじゃない…。
ぎゅっと目を瞑り、ただひたすら、一つの扉を目指して走った。