名のない足跡

「どうにかして…ルチル様を支えていかなければ」


「…あのハナタレをねぇ…」


カーネがそう呟くと、メノウは目を見開いた。


「お前、ルチル様をそんな風に呼んでいるのか!?」


「ん?ハナタレをハナタレと呼んで何が悪い」


「何が悪いって…もういい。昔からそういう奴だったよ、お前は」


メノウがため息をつくと、カーネは口を尖らせた。


「言っておくが、私だってちゃんと考えているぞ?これ以上、ウィリーの好きにさせてたまるか」


「…久々に、知恵を合わせてみるか?」


フッと笑ったメノウに、カーネも笑い返した。


「…そうだな!」





†††


「ロズッ!お願い、もう一回!!」


「ええー!? またぁ!?」



中央広場。


かつては戦闘部の訓練場所だったが、武闘場が建設されてからは、ただの大きな広場となってしまった。


「まーた説明頼んでるよ」


「…ったく、一回で理解しろあの単細胞め」


中央広場の片隅にいるのは、アズロとウィン。


対して中央にいるのは、ルチルとロズ。





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