名のない足跡
「滅多に聞けん、お前の謝罪だ。特別に許してやろう」
「…にゃろう、えらそーに言うなよッ」
「………ふっ」
「………はっ」
二人は互いに顔を見合わせて笑い、澄み切った空を仰いだ。
「セドニーィ!」
「ん?」
「俺は、姫さんにとことん手を貸すぜ」
「…ウィリー王に復讐する為か?」
デュモルはまさか、と首を横に振る。
「…ただ単純に、姫さんには幸せになってほしいだけだ」
「ほう。お前が他人の幸せを願うなんてな」
ピキリ、とデュモルのこめかみに青筋が浮かぶ。
「…おめぇ、俺サマを何だと思ってやがる。…いいから、手ぇ貸せよ!」
「まぁ、ルチル様に幸せになってほしいのは確かだ。…いいだろう」
二人は互いに片手で拳を握り、天に向けて真っ直ぐ伸ばした。
それぞれの想いは、やがて交差する。
一人の少女を導く、一筋の光となって…