名のない足跡
「目の前で貴女が殺されそうなのに、何で黙って見てなくちゃならないんです?」
「………っ」
「全く…あれだけお側にいたのに、貴女の考えがさっぱりわかりません」
ため息と共に、ライトはツカツカとあたしの側まで歩く。
あたし体は、ふわりとライトに包まれた。
「…無事で、良かった」
自然に、涙が溢れ出る。
こんな形で、出会う予定じゃなかったのに。
ウィリー王とビシッと決着をつけて、ライトに会いに行って…
言いたいこと言うだけ言って、怒って…
一緒に帰ろうと思ってたのに。
「…っ、ライトの、大バカ…!」
「バカです。認めますよ」
ああ、もう。
こんなこと言う為に、わざわざ来たんじゃないのに!
でも、いざ本人を目の前にすると、何から言えばいいのかわからず、ただ黙り込むばかり。
すると、ライトの腕に力がこもった。
「何故…ウェルスに来たんですか?」
「…ライトに会いに来たんだよ」
そんなわかりきったこと聞かないで、と思いつつも、あたしもライトの背に回す腕に力を込める。