名のない足跡

「…だが、キラと違う点は、お前はさっき、しっかりと私に反抗した事だ」


ライトは何かに気づいたように目を見張り、続いて口元が引きつり始めた。


「…父上…もしや、俺を試しましたか?わざと姫様の決闘の申し出を受けました?」


あたしも驚き、ライトとウィリー王を交互に見る。


ウィリー王の笑みが、なんだかウィンと重なる。


「…こうでもしなければ、お前は自らの為に動かないだろう」


「じゃあ初めから…姫様を殺す気はなかったんですね!?」


「…子ネズミ一匹殺めた所で、私になんの得もない」


…こ、子ネズミ。


確かに、あたしがいなくなってもメリットないだろうけど…。



隣で、ライトがぷるぷると震えている。


心なしか、怒りマークが見えるような…?


「ち、父上…」


「…何だ?今度はお前が私に決闘を申し込むか?」


「そんなこと、しませんっ!」


「…なら、この城から出ていけ」


「……は?」


ライトは目を点にした。




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