名のない足跡
あたしは言い返そうとしたけど、カーネ司令官の冷たい瞳を見て口をつぐむ。
「私はこの後の貴様の行動で判断する。使えない王だと思ったら、私は貴様など当てにせず単独で行動する。…少しでも使えそうなら、全面協力を考えてやらんでもない」
「…わかりました」
アッサリと返事をしたあたしに、カーネ司令官は少し驚いたようだった。
あたしは、カーネ司令官の瞳をしっかりと見て言った。
「ぜぇーったい、協力してもらいますから」
「…ほほう。度胸だけはあるようだ。私を失望させてくれるなよ、ハナタレ」
そう言うなり、カーネ司令官はあたしとライトを外へ追い出した。
「…怒らせちゃったかな」
冷や汗をかくあたしを見て、ライトは笑った。
「大丈夫ですよ。姫様のこと少しは見直してくれたと思います」
「…えと、あの。少しよろしいでしょうか」
商連部のメノウ交易官を前に、あたしは怯えつつ話を切りだした。
だって、顔が怖いのこの人。
っていうか目つき。無言だし…。
「………」
何も話さないのを、肯定だと勝手に判断し、あたしは話し始めた。
話した内容は、セドニー長官へ言ったこととほぼ同じ。