名のない足跡
その答えにたどり着けるような道は、確保した。
あとは、出口まで迷わずに進めるか。
「貴女に、命を預けて大丈夫なんですか?あなたは護って下さるの?」
女性の声がした。
…きっと一番不安なのは、命を預けるということ。
「…残念ながらあたしは、護ってあげるから安心して下さい、なんて無責任な言葉は言えません。
もし約束をしたとして、それが破られた時に嘆くのは、あたしであり、みなさん自信なんです。
なので、自分の命は自分で預かって下さい。
命の懸かる選択が迫られた場合は、みなさんの意志で選んで下さい。…あたしは何も言えません。
戦場へ行けと言われ、命を失うのが怖ければ、行かなければいいんです。
今すでに、あたしが王でいることに身の危険を感じたなら、この国を出ていただいても構いません」
ざわ、と大広間内が揺れた。
「ふざけんな!!この国を捨てるもんか!!」
「自分だけ逃げるなんてバカなことするか!!」
予想通りの反応に、あたしはにっこりと笑って応えた。