名のない足跡
うう…。
アゲートさんには感謝せずにはいられない。
「ありがとうございます…!で、いつ面接しますか?」
「明日の午後に」
「あ、明日!?急すぎじゃないですか!?」
いくらなんでも、志願者にも面接や心の準備というものがっ…。
「ありのままを見せてもらいたいでしょう?」
アゲートさんに微笑まれて、あたしはハッと口をつぐんだ。
…そうだ。あたしがアドリブでスピーチをしたように、相手にも素の自分で話してもらいたい。
これからずっと付き合っていくであろう相手なら、なおさら…
「…そうですね、明日にしましょうっ!」
アゲートさんは、もう一枚ファイルをあたしにくれた。
「…これは?」
「質問内容三項目です。私が考えておきました。それだけ聞けば、充分ですよ」
「わーっ、ありがとうございます」
「では、少し準備等してまいりますね」
そう言って、アゲートさんは執務室から出ていった。
それと同時に。
「よォ、姫さん」
「デュモル隊長!?」
デュモル隊長が片手を上げて、アゲートさんと入れ替わりに入ってきた。