名のない足跡
2.足元の陽炎
あたしの考えを話したとき、アゲートさんは少なからず驚いていた。
隣にいたウィンは、驚きを通り越して呆れていた。
それでもアゲートさんは了承してくれたし、ウィンは「止めたって聞かないだろ」と言ってしぶしぶ了承してくれた。
思い立ったら即行動!
を最近モットーにし始めたあたしは、明日にでも出発すべく、すぐ部屋に戻り荷造りを始めた。
…正確には、荷造りを始めようとした。
「待て待て待て」
ウィンに止められ、あたしは顔をしかめて聞く。
「何?」
「まさかあんた、長旅する気でいるのかよ」
「だって、サヴァ国とネスタ国まで行くのよ?何日もかかるでしょ」
そう。
あたしは、返事のないサヴァ・ネスタ両国に対談しに乗り込もうと考えていた。
ウェルス国は、はっきりと"対談する気はない"って返事がきた。
でも、両国は返事なし。
…ってことは、対談を断っているわけじゃない!
…という理由をこじつけ、ちゃっかり対談を持ち込もう計画を立てた。
国を離れるので、アゲートさんに後を頼み、あたしとウィン、ライトの三人で行くことにした。
…ライトにはまだ言ってないんだけどね。