キミと僕

はじまり

また来てしまった。

キミと僕とのはじまりの場合へ。

キミに会いたくて 今日も来てしまった…。

キミは笑うかも知れないけど、僕は毎日 同じ時間に来てるんだ。

だって、キミはすぐ迷うよね。

そして とても時間にルーズだよね。

なんて言ったら キミは怒るかな?

間違いなく怒るね!

僕の好きな怒った顔が見れるから 僕はうれしいけど…キミには言わない!

だって言ったら見れなくなるから。



この場所も変わってしまった。

昔は、白い砂浜がどこまでも続いていた。

見渡す限りに広がる地平線。

砂浜に転がる 綺麗な貝殻。

キラキラと光る水面。

そして 吸い込まれそうな 青い空と海。

あの頃が懐かしい。

あの頃に戻りたい。

なんて…無理な話だ!

でも、戻れるなら あの頃に戻りたい!

そして、キミを抱きしめたい!

キミの声を聞きたい!

キミと話しがしたい!

そして、キミに謝りたい。

キミが許してくれるまで謝りたい。

何度だって頭を下げる!

何度だって土下座もする!

謝って。

謝って。

謝って。

許してくれるまで謝りたい!

『ごめんなさい!』

『すみません!』

『悪かった!』

どんな言葉で謝ったら キミは許してくれるだろう。

僕 本当は、気が小さいんだ。

僕 本当は、強がってるだけなんだ。

僕 本当は、涙もろいんだ。

僕 本当は、『俺』なんて言い慣れてないんだ。

全部

全部

全部…キミにカッコよく見られたくて やってたんだ!

僕が子どもだから…

僕がバカだから…

僕は 大好きなキミを傷着けてしまった。

ごめん。

本当にごめん。

ごめんなさい。




だいぶん風が冷たくなって来た!

季節が冬に変わろうとしているんだろうね。

今日は天気はいいが、寒さで釣り人も少ない。

寒さで僕の細くなった手足が 小刻みに震える。

遠くで17時を知らせるメロディーが聞こえる。

車が混む音がする。

冷たくなった手のひらに『はぁ~…』と息を吐き、手を擦り合わせた。

そして、服の上からでもわかるくらいゴツゴツした両膝に手を置き立ち上がる。

『どっ…こら…しょ…』

と、声が出る。

年は取りたくないね。

こんなにシワだらけのじいさんじゃ キミはわからないかも知れないね…。

杖がないと歩く事さえ出来ない。

なんて醜い身体だろう…。

それでも僕はキミに会いたい‼

『さてっ、帰ろうかな
…』

杖が砂浜に埋もれて 上手く歩けない。

おまけに空も暗くなって 視界が悪い。

僕は、転ばないように気をつけながら歩く。

ヨタヨタ…

ヨタヨタ…

砂浜を抜けると 細い砂利道に出る。

砂利が杖の邪魔をする。

僕は転ばないように杖で身体を支えながら歩く。

ヨタヨタ…

カツ…カツ…

ヨタヨタ…

カツ…カツ…

1キロ程 砂利道を歩く。

街灯もほとんどない 暗いこの道。

そんな道さえ 僕には宝物だった。

昔、キミと何度も一緒に歩いた道だからだ。

手を繋いで歩いた道。

ケンカしながら 歩いた道。

いろんな思い出がある道。

僕とキミの道。

ずっと続くと思ってた。

途切れるなんて思ってなかった。

僕とキミの道。



砂利道を抜けると 広い道に出る。

そして、また1キロ程歩くと我家だ。

真っ暗な我家。

僕は ずっと1だ。

もちろん 縁談の話しも合った。

でもしなかった。

する気に馴れなかったのだ。

結婚をするならキミとがいい!

家庭を持つならキミとじゃないとダメなんだ。

僕にはキミ以外に 好きになれる人は現れなかった。

だから今でも1人さっ!

キミはどうだい?

1人かい?

結婚しているのかい?

幸せな家庭を築いているのかい?

元気にしているのかい?

幸せで合って欲しい。

でも、出来る事なら 幸せにするのは僕でありたい。

神様…僕などが そう願ってもいいでしょうか?

神様……

今日は疲れた…。

年には勝てないなぁ~。

飯を食べて、風呂に入って寝よう。

また明日があるから。

明日は会えるだろうか?

会えたら何から話そうか?

僕だってわかるだろうか?

こんなに年を取ったらわからないかもしれない…。

それとも僕の顔を見たくない…?

でも僕は会いたい‼

キミに会いたい‼

会いたいんだ‼

そして僕は眠りに着く。

キミと過ごした楽しかった日々。

キミと過ごした幸せな日々。

僕はそんな夢を見ながら眠る。

夢の中ののキミと話しをする!

キミが僕に笑いかける!

キミが僕に怒る!

キミが僕の名前を呼ぶ!

それだけで僕は幸せなんだ!

キミに会いたい。

会いたい。






















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