キミの隣、笑顔のあなた
「おはよー茉依。」
茉胡はこちらに視線を向けず、ひたすらにノートに向かっていた。
教室で茉胡とは前後の席なので、ほんとに1日中一緒にいる。
係だって、2人で数学係をしている。
ずっと一緒にいるということはすなわち、茉胡の行動が、しぐさが、表情が一番よく見えるということ。
そして、茉胡とあの人の関係を誰よりも近くで感じる特等席だということ。
・・・それは、世界で一番残酷な特等席。
今日の数学は最後の6時間目。
それは、茉胡と2人だけの楽しい時間から、一気にブルーな色になる時間。
それはまるで、美しい絵の隣にある残酷な殺人の絵を、順番に見た時の気持ち。
—————どうか、耐えられますように。