キミの隣、笑顔のあなた



そういって、澄にいがポケットから取り出したのは、私が教科連絡の時に渡した、メモだった。

紙には、
「2人きりで話したいことがあります。 まい」
と書いてある。

授業の後、ぼそっと「帰りに来い」といわれ、今に至る。

「あ、えと、それね。うん。
 まず、遅くなったけど、お誕生日おめでとう。」

「ん?あ、おう。ありがとう。
 朝希からもらったよ。プレゼントありがとな。」

そういいながら、手帳を取り出し右手に持って私に見せてくれた。
澄にいの手帳には、私があげたものがつけられていた。

「あ、使ってくれてるんだ。」

「あたりまえだろ!使いやすくて、すごく感謝してる。
 一生懸命やってるバイト代で茉依が買ってくれたんだ。使うに決まってんだろ。」

あはは!と笑いながら言うその言葉に、さりげなく茉依と呼ぶその姿に、私の胸はときめく。

「...ずるいなあ。」

「え?」

「いや、なんでもない。」

小さくつぶやいた私の言葉は澄にいの耳には聞こえなかったようだ。

澄にいも私の事好きになってくれたらよかったのに。

何度もそう思うが、もうそれは叶わない。


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