キミの隣、笑顔のあなた
「・・・俺だってどうしたらいいかわからないんだ。
なあ、茉依。
・・・俺は、どうしたらいいんだ?」
「————————っ。」
・・・なにも言えなかった。
じっと私を見つめて答えを待つ澄にいから、私は視線を逸らしてしまった。
そらすことしかできなかった。
「———ふっ。
わかんねーよな。そりゃそうだ。
わりぃな、こんなこと言って。」
私の方に腕を伸ばし、私の頭をポンポンとした澄にいは、ひどく悲しい顔をしていた。
————逃げてしまった。
せっかく、澄にいが初めて見せてくれた表情だったのに。
私は、逃げてしまった。
2人を応援すると決めていたのに。
「・・・あの、あのね。
うん。確かに私わからない。それに口下手だし、ちゃんと伝わるかわからないけど。
......後悔だけは、しちゃいけないと思う————!」
まっすぐ、まっすぐ澄にいの目を見ていうことができた。
「————ッ!」
「それじゃあ、私は帰るね。
また明日。」
ニコッと笑いながら、でも早口で、澄にいの顔は一切見ずに。
澄にいの返事も聞かず、私は数学職員室を出た。
教室に行くまでの間、教室から玄関まで、玄関から校門まで、校門から家まで。
誰ともすれ違わなかったのは、奇跡だと思う。
だから、私の頬を流れる涙に気づいた人は、きっといない。
・・・いや、やっぱり誰かとすれ違うべきだったのかもしれない。
だって、
「・・・ひっ、ふぇ・・・。」
————こんなに涙が止まらないんだから。