キミの隣、笑顔のあなた
「うん。
・・・よし行こっか。」
チラッと茉胡の席を見ると、いつの間にか数学の道具が準備されていた。
数学の道具を机の上にそろえ、完了と伝える。
そのまま2人で教科連絡に向かった。
「よし、じゃあこの例題を使って、次の問題を解いていくぞ。・・・」
数学の授業が始まって、20分ほど。
さっきから、教科連絡の時の様子が頭から離れない。
2人で目をあわせて笑い合う。
私は知っているからか、遠慮なく甘える茉胡。
それに応える澄にい。
泣きたくなるのを抑えるの必死だった。
・・・相変わらず、私は澄にいのことをあきらめることができていない。
それでも、私は茉胡のことは嫌いにならない。いや、なれない。
たとえ恋敵でも、それでも茉胡と過ごしてきたこの4年は、時間以上に大きな時間だったから。
だから、余計苦しいのだ。
「いいかー、ここはな、sin、cos、tan。1セットだからな。
んで、求め方。sinは・・・」
窓の外から、黒板に視線を移すと、そこには想いを伝えることはもう許されない、私の大好きな人が。
生徒からの人気もあるし、授業は面白い。
先生としても、一人の人としても、かっこよすぎるヒト。
澄にいが板書し始めた瞬間、私の視線は自然に茉胡の方へ向いていた。
周りにばれないようにノートをかきながら、それでも茉胡の瞳は澄にいを見ていた。