キミの隣、笑顔のあなた
「・・・・・」
佐伯くんのまっすぐな言葉に、私はなにも言えなくなってしまった。
「今すぐに返事がほしいってわけじゃないんだ。
考えてほしい、っていうことで、お願いします。」
それじゃあ、と私の前から去っていこうとする佐伯くん。
固まってしまっていた私は、ボーっとその様子を見ていたけど、慌てて佐伯くんを呼び止めた。
「・・・あっ、待って!」
私の声に、足を止めて振り返る佐伯くん。
「...ごめんね。私は、佐伯くんの気持ちに応えることはできない。」
「・・・俺、待つって言ったのに。」
「でも、たぶん、いくら待ってくれても、答えは変わらないと思う。
だったら今言ったほうがいいかな、って。」
「・・・・・・そう言うと思ってた。」
私の言葉に、ふっと笑って小さくつぶやいた佐伯くんの言葉は、私の下には届かなかった。
「えっ?」
「ううん、なんでもない。」
それじゃ、とまた遠ざかっていく佐伯くんを見て、私はまた呼び止めてしまった。
「...でもっ!
でも、友達になら、なりたい。」
私の言葉に、足を止める佐伯くん。
その間に、普段の倍くらいの速さで捲し上げて伝えた。