キミの隣、笑顔のあなた
・・・佐伯くんのことが好きになれたら、きっとどれだけ楽なのか。
そんな失礼なことを思ってしまうくらい、私はもったいないことをしたと思う。
それでも、今の私に澄にいをあきらめることはできない。
佐伯くんに告白されたとき、すぐに澄にいの顔が浮かんだ。
ああ、私は澄にいのことが好きなんだ。
改めてそう思った。
「遅かったねー。
どこ行ってたの?」
「・・・ちょっとね。」
「ふーん?まあ、いいけど。
かえろっかー!!」
少し考え事をしていたからか、時間は結構経っていたみたいで、教室を出てから20分が経っていた。
校門を出てから少し。
私はさっきのことを話そうか、話さないか迷っていた。
「・・・あのさ、さっきなんだけど。
呼び出されて、だから行った。」
「え?呼び出し?!誰に?」
「・・・佐伯くん。」
「えええええええええええ?!」
茉胡の声の大きさに、通行人の視線が一斉に私たちに向く。
「・・・うるさい。声でかい。」
「いや、だって佐伯くんだよ?
やっと、茉依の良さを理解できる人が現れた、と思って喜んだんだけど。
佐伯くんだったとは...」
やっぱりそうなるよね。