キミの隣、笑顔のあなた




「澄さん!あのさ...」

さっきまで一言もしゃべっていなかったうちが急に大きな声を出したからか、隣でビクッとなったのが見えた。

「ん?どうした、急に。」

「...あのさ、あの、
 澄さんさ、茉依と、知り合いなの?」

「えっ。」

驚いた声の後、澄さんは、なにもしゃべらなかった。

「そっか、知り合いだったんだ。」

「いやっ、知り合いっていうか、友達の妹で、まあ、小さい時から知ってたっていうか...」

「・・・そっか。ありがとう。」

そう言って、うちは窓のほうを向いて背もたれによっかかった。

「...茉胡っ。」

隣から慌てたような声が聞こえたけど、寝たふりをした。

だって、さっき何も言わなかったのが答えなんでしょ?

つまり、二人は知り合いってこと。

...茉依は、どうして言ってくれなか


——————っ、もしかして。


茉依の幼馴染って、確か年上で、数学が得意で、...彼女がいる。

全部、澄さんに


—————当てはまってる...?


...待って、待って待って。

え?そういうことなの?

茉依の好きな人は、幼馴染。

茉依の幼馴染は、澄さん?

ってことは、茉依の好きな人は・・・澄さん?


嘘だ、嘘だ...

考えが一つの答えに行きついた時、うちは今度こそ疲れて、本当に寝てしまった。





茉胡side END
< 279 / 361 >

この作品をシェア

pagetop