キミの隣、笑顔のあなた
その日からうちは、茉依を避け始めた。
知り合って5年目、うちと茉依がこんなにも話さないなんて、初めてのことだった。
それから、澄さんともうまく話せなくなった。
連絡は来てるけど、なんて返せばいいかわからなくて。
初めは、たくさん来ていたメールも、電話の着信も、2週間が経った今では、その1/3も来なくなった。
「・・・なんで。なんで連絡くれないの?」
連絡が来てほしいけど、来てもうちはきっと出ない。
初めての感情に、うちは完全に振り回されていた。
・・・もし、茉依の好きな人が澄さんだとしたら。
うちは、たとえ茉依でも澄さんのことは渡さない。
初めて、うちがこんなに好きになれた。
一緒にいたいって思った。もっと近くでって。
もっと笑った顔がみたいと思った。
自分にだけ笑ってほしいって思った。
自分だけのものにしたいって思った。
初めて、初めて大切にしたい人、が茉依以外にできた。
だから、もしライバルが茉依だとしても、澄さんだけは、澄さんのことだけは絶対に譲れない。
でも、もし、それで、茉依ともう二度と話せなくなってしまったら?
・・・そんなのいやだ。
話せなくてわかった。
うちがどれだけ、茉依と話すことで心が落ち着いて、楽で、一番落ち着けていたのかが。