キミの隣、笑顔のあなた




茉胡と元通りになった次の日。

バイトがない今日は、放課後に茉胡と教室にいた。

帰りのHRが終わって30分ほど。

教室にはもう、数名しか残っておらず、オレンジ色の光が教室に入ってきていた。

「あのさ、茉依。」

私の前の席の子の椅子に私を向いて座った茉胡が、小さな声で話しかけてきた。

「ん?」

「・・・実は、デートをした日から、澄さんと連絡を取っていなくて...。」

「え?」

「いや、なんかその日、喧嘩したままみたいな空気でデートが終わってさ。
 それから毎日メールとか、電話の着信とかが入ってるんだけど、こういうの初めてでどうしたらいいのかわからなくて。」

贅沢な悩みだなあと思った。

私には、そんな悩み持つことすらできないから。

単純に、うらやましいと思った。

「茉胡はどうしたいの?」

「...わかんない。
 着信が来てたり、メールが来てたりするのを見ると嬉しくは思うけど、実際その時に来たら、出られない気がして...」

「茉胡はさ、今附田先生と別れたら、後悔無く次の恋をすることができる?」

「・・・え?」

私のその言葉に、ずっと下を向いていた茉胡は顔をあげた。


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