キミの隣、笑顔のあなた
「・・・えっ?」
「ごめん。ごめんな。俺のせいで。」
「いえ、先生のせいではないです。」
「ううん。俺のせいだ。俺のせいで、こんなつらい思いをさせて悪かった。
ちゃんと話してくれてありがとう。
心配すんな。お前のことは大切に思ってる。ちゃんと、大事にしたいって。」
「・・・先生、ちゃんと言ってほしいです。」
「・・・好きだよ、茉胡。」
伝わってくれ、この気持ち。
俺は今、こんなにも安心しているんだ。
茉胡と話せて、こうやって抱きしめることができて、俺は心から安心している。
もちろんそれ以上はするつもりはないので、俺は茉胡から離れた。
「・・・ちゅーは、もう少し待ってな。」
少し寂しそうな表情をした茉胡に、俺は笑顔でそう言った。
問題は起こしたくない。
ちゃんと、けじめはつけなければ。
「・・・わかってますよーだ!!
えへへ。ごめん、先生。
茉依を待たせてるから、今日はもう帰るね。」
ドクンッ————————
「・・あ、ああ。」
「帰ったら連絡ください!ちゃんと、返しますから!」
「おう。」
「失礼しましたー。」
俺の大好きな笑顔のまま、茉胡は数学職員室から出て行く。
「ふぅ。」
これで一安心だ。よかった。本当に。
とりあえず、数学職員室が結構人気のないところにあることは、救いだと思う。