キミの隣、笑顔のあなた
8st story  進路



茉胡と澄にいが仲直りしたと聞いたのは、茉胡が教室から走り去ってから約10分後のことだった。

教室に戻ってきた茉胡の表情は、すっきりしていて、かわいい笑顔だった。

私が泣いた後、すぐに目を洗いに行ったので、なんとか言い訳できると思っていたけど、茉胡は私が泣いたことに気が付いてはいないようだった。


それから約2ヵ月。

体育祭は、特に何もなく今年は優勝という形で終わった。

ただ、相変わらず佐伯くんの人気がすごかった。

走るたびに女の子の高い声が校庭に響きわたり、佐伯くんの人気ぶりを久しぶりに目の当たりにした気分だった。


もう少しで二人は付き合って1年が経つ。

仲直りしてからというもの、2人は前以上にお互いを思い合う、より素敵なカップルになったと思う。

茉胡が澄にいを見る目は、前よりも優しくて穏やかで、私が一度も見たことない瞳。

澄にいが茉胡を見る目は、愛おしくて愛おしくてしょうがないという瞳をしているように見える。

気のせいかもしれないが最近、澄にいと目が合うことがよくあって、その度に辛かった。

「茉依ー、いかないの?」

「あ、うん。先行ってて。」

「分かった!早く来てね。」

文化祭・後夜祭の今日、18:00に校庭集合、開始なのだが、17:30の時点で、校舎にはもうほとんど人が残っていなかった。


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