キミの隣、笑顔のあなた



花火が上がり始め、綺麗だなあ。そう思った時、茉胡がそう言っていたのを、ふと思い出した。


『好きな人と目が合ったら、その人と、結ばれる...』


その言葉と同時に、頭に浮かんだのは、なぜか、




――――――――――佐伯くんだった。



『俺が、古内さんを助けたい。
 俺が、古内さんを甘やかしたい。
 俺が、誰よりもそばで古内さんの笑顔を見たい。
 俺だけが、古内さんの涙を拭いてあげたい。』



その言葉が頭の中をぐるぐると回った。



・・・嬉しかった。



自分の事だけを見てくれてるような気持ちに勝手になった。

私は、佐伯くんの気持ちに、想いに、応えることは出来ないのに。

それなのに、そう言ってくれたことにとても嬉しさを感じていた。




『それでは、いよいよ本当のクライマックス!!
豪華なラスト10発を、お楽しみくださーい!!』

一度止まっていた花火は、生徒会長の声を合図に、再び空に綺麗な大きな花を咲かせた。


・・・どこだろう?どこに、どこにいるのだろうか。


私は無意識に、視線を周りに向けた。


・・・どこに、どこに?


「―――――いっ、まい、まーいっ!!
次ラスト、次がラストの花火だよ!!」

その声が隣から聞こえたと思った次の瞬間...



< 305 / 361 >

この作品をシェア

pagetop