キミの隣、笑顔のあなた






”早く治して元気になれ。
 次会うときは笑顔でな。
            澄”



澄にいのきれいな字で書かれたこのメモは、私の宝物だ。

小さな小さなお守り。




「遅れてごめん!」

そのメモを眺めているときに、急に後ろから声をかけられ、私は焦ってその紙を折りたたんで、元の場所に戻した。

スマホを見ると、時間ぴったしだった。

「遅れてないよ。時間ぴったしだから。」

「俺が出るとき、もう学校にいなかったから、結構早く出ただろ?」

「うん。急いだほうがいいかと思ったんだけど、そうでもなかったね。」

「じゃ、いこっか。」

佐伯くんのその言葉に、二人並んで駅に向かった。

裏道から駅に行く道は、割と知られておらず、大通りじゃないので周りにはあまりうちの学校の生徒はいない。

佐伯くんの面白い話を聞きながら、会話が途切れることなく、駅まで歩いた。


————こうして、佐伯くんとのクリスマスデートが始まった。




「はあー。もう5時か。早いね。」

お昼頃から遊び始めて、約5時間。

佐伯くんがたくさん楽しませてくれたおかげで、退屈することなく遊べた。

私の家の最寄り駅、学校の最寄り駅でもある駅には毎年、大きなツリーが飾られる。

私たちはその前に立って、大きなツリーを見上げながら話をした。


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