キミの隣、笑顔のあなた




廊下に響く、茉依の声と同時に、俺も心の中で同じ言葉をつぶやいた。

「あっ、いやならいいんだけどさ。」

「いや、いいよ...!
 行こう、どっかに。」

「マジで?いいの?」

「え?誘ってきたの佐伯くんじゃん。」


俺はそこまで会話を聞いて、足早にその場から立ち去った。

男が、佐伯だとは思わなかったから、正直驚いている。


・・・さっきの会話が本当だとすると、茉依は近いうちに、佐伯とデートをするってこと。か?



その時の俺は妙に、イラついていた。

そのままイラついたまま、家に帰りいつもの倍くらい酒を飲んだ気がする。




・・・ああ。そういうことか。

つまり、あの日話していたのは今日のことで。

今日は、クリスマス。

あの会話的に、たぶん二人は付き合っていない。


...付き合って、いない?



ほっ————————






・・・ほっ?


なんだ?ほっ、って。


そう思った瞬間、


パチッ————————


目の前のクリスマスツリーが、ライトアップされた。

腕時計を見ると、17:00を指している。


「わぁ...きれいだね!!」

茉依のうれしそうな声が聞こえた。

茉依があの声でしゃべるときは、テンションが上がっているときだ。

イルミネーションを見て、テンションが上がったらしい。



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