キミの隣、笑顔のあなた
また違う日は、茉依と先生が廊下ですれ違うところが違うところから見えた。
すれ違ってしばらくして、澄さんは後ろを振り向いた。
その横顔は、悲しそうで、さみしそうで、辛そうだった。
佐伯くんと茉依が話しているところを見たときの澄さんの表情は、あまりにさみしそうで。辛そうで。
抱きしめてあげたくなるほどだった。
そして、そんな表情をさせられる茉依が、すごくうらやましかった。
「・・・はぁ。」
茉依のバイトの日の今日は、学校帰りまっすぐに家に帰った。
部屋の勉強机に座り、うちはため息を漏らした。
たぶん、たぶん澄さんは茉依のことが好きなんだと思う。
そうとしか思えない行動ばっかりだから。
・・・でも、でも、でもでもでも。
——————澄さんは絶対に誰にも渡さない。
こんなに誰かを好きになったのは初めてで。
大好きで大好きで、1秒1秒どんどん好きになる。
そんな思いをさせてくれる人に出会えたことは、うちにとってすごいことなんだ。
そして、その人と今、まだ付き合ってる。
付き合うことができてるんだ。
澄さんの気持ちが茉依のほうに向いていても。
茉依に近づいて行ったとしても。
—————————うちは、澄さんを絶対にあきらめない。