キミの隣、笑顔のあなた




それからうちは、茉依がバイトの日に澄さんのいる数学職員室に通った。

澄さんにうちからたくさん話をして、澄さんからも話をしてくれるのを待った。

どうしても、どうしても澄さんの心を取り戻したかった。


何度も思った。

もしかしたら、澄さんははじめっから茉依のことが好きだったんじゃないか。って

でも、それならなおさら、うちを好きになってもらいたいって思った。

それに、2人っきりのとき、うちに見せてくれたあの笑顔、いろんな言葉。
それらは、澄さんの本物だったって、思うから。そう信じたいから。





そして気づいたら、いつの間にか、バレンタインデーの季節になっていた。




「茉依ー、今日遊ぼうー!!」

茉依のバイトがない日、うちは茉依の席に行って茉依を誘った。

2月に入ってすぐの席替えで、また茉依と席が離れてしまった。

「いいよ。」

今日は、チョコの具材を買いに行こうと思っている。

いろんなことが起こっているが、うちは茉依とは今まで通り普通に接している。

だって、茉依は何も悪くないから。

うちが、澄さんをずっとうちのものにできなかったうちが悪いんだもん。


だけど、茉依には澄さんとのことを言えなかった。





なんか...言いたくなかったんだ。




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