キミの隣、笑顔のあなた



これも去年と同じだ。

前では、先生がLHRを始めて、いろいろ話している。

「...はい、これ進路希望調査なー。」

急にその声だけがはっきりと耳に入ってきた。

進路希望調査...


「・・・いやだ。破り捨てたい。」

前から送られてきた進路希望調査の紙を1枚とって、残りを後ろに送る。

思わず出てきた言葉に、隣の佐伯くんが肩を震わせながら笑っていた。

「これ、今週中な。忘れずに書けよ。
 これで大体進路を決めるんだからなー。」

...そうかあ。

もう、受験かあ。

朝も茉胡と話はしたけど、こうして先生に言われると、現実味が出て嫌になる。

もっと、澄にいと同じ学校にいたい。

2年前、澄にいを始めて学校で見てからもう2年。

いろんなことがあったけど、あっという間に3年生になっている自分に驚く。


あと1年で高校生が終わる。

澄にいを毎日見ることもなくなる。

まだまだ先のことだけど、そう考えるだけで、悲しくなった。





木曜日、バイトがない今日は、家に帰って部屋に行った。

「進路・・・」

毎日部屋で紙を前に悩んで、ついに明日提出する日になっていた。

目の前の紙には、”就職希望・進学希望” と書かれている。

とりあえずここは進学希望に丸を付ける。


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