キミの隣、笑顔のあなた
佐伯くんには大学からバスケの特待が来た。
その大学と私の受験した大学は一緒だったのだ。
大学からの特待が来たのは、9月くらいだったから、すごい偶然だと思った。
「はぁ———っ。」
佐伯くんが立ち去り、私はまた空を見上げた。
下の校庭からは、卒業生と在校生の色々な声が聞こえる。
その時、たんぽぽの綿毛がブレザーについているのに気が付いた。
そっととって、風に放った。
綿毛はふわふわと空まで飛んで行き、ついに見えなくなった。
澄にいへの想いを消すことはまだできない。
そんな簡単じゃない。
感情だけで、どうにかなるようなことじゃない。
想った年数も、強さも私の中で太く根付いている。
でも、そのたんぽぽの綿毛が空へ飛んで行ったとき、私の心の中にずっとあった、黒い気持ちがすーっと空に一緒に飛んで行った気がした。
たんぽぽの綿毛と、スカイブルーの空は、私の心をきれいにしてくれた。
・・・ありがとう。本当にありがとう。
いつか。ちゃんと忘れられたとき。その時は...