キミの隣、笑顔のあなた



確かに引っ越したのは知っていた。でも場所までは知らなかった。

この学校は私の家からそう遠くはない。
だから、ここで働いているなら、澄にいの実家から通勤していてもおかしくない。

でも、お隣に澄にいがいる様子も、澄にいが出入りしている様子もない。

ここに澄にいがいることを全く考えられなかったのも、これが理由。

「そう。本当は大学に入学するときに一人暮らし始める予定だったんだ。
 でも、結局ここに就職が決まってから、家出ることにして。」

「あ、そうなんだ。
 ってか私もここ1週間全く気付かなかった。
 びっくりしたもん。」

数時間前の驚きを振り返りながら答えると、

「え、そうなのか?そんな風には見えなかったけど。
 俺、すごい驚いてたけど、茉依全然そんな感じじゃなかったでしょ。
 にしても俺がここの教師だって言ってなかったっけ?」



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