キミの隣、笑顔のあなた






”聞くんじゃなかったー”


何もなかったら笑いながら冗談で言えるこの一言も、私には言えない。

私が言ったら、なんとなく意味が深くなっちゃう気がして、飲み込んでしまう。

「そう。
 でもさ、声聞いたら、会いたくなっちゃうじゃん。
 気がすむまでってわけないけど、夜ごはんで呼ばれたから切った。
 だから2時間。」


もう何度も聞いてきたでしょ。こういう話。


茉胡は私の気持ちを知らないし、気づくわけもない。
私が隠してるから。


でも、いくら隠していても、好きなのは事実で、私の心の中からは、消せない。

だから、私の心の中はいつもぐちゃぐちゃ。



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