冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
相手の強さを知ってしまったということと、全く白紙の戦略。初日だというのに一つも売れない商品。終わってから三宅さんに報告を兼ねて、みゆちゃんと三人で反省会を開いた。


「もう本当に場違いですよ!私たち。あんな中で売り上げに繋げる革命なんて起こせるはずがないです!無理です!」


そう言って運ばれてきたビールを半分くらい、一気飲みした。夜の九時開始で、明日もまた朝から出勤だと言うのに、飲まずにはいられない。

三宅さんと合流して、向かった場所は、個室のあるアジアン系の店。個室とばかりに愚痴も止まらなかった。


「だって、キュートエリア本当に安くて可愛いんです。うちがどれだけ可愛さや本物を謳ってもティーン達は絶対に高くて可愛いものよりは、安くて可愛いものを買いますよ」


「まあね。中高生が元値三万円のバッグを一万五千円になっても買ったりはなかなかしないわよね」


「そうなんです。深月さんが言っているように本当にみんなそんな感じで、私もう初日から嫌になりそうです」


みゆちゃんの言う通り。初日から疎外感しか感じられず、明日になって何か変わるかというと何も変わらない。


いっそ別のジョルフェムの対象フロアで宣伝するのもいいかと考えたりもしたけれど、一応EMISIAが宣伝をしてくれている。


それに仮にジョルフェムが好きで、欲しいと思っていても、あのフロアまで買いに来てくれる人はいないだろう。
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