冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「このワンピースに似たようなやつを何着かください。あと、出来たら彼女にいろいろコーディネートしてやってくれませんか?」


社長は、私には何も言わなかったけれど、店員さんを呼んでそう言った。


それからは店員さんが着せ替え人形のように私にいろいろコーディネートしてくれて結局、ワンピースだけでなく、たくさんの洋服を社長に買ってもらってしまった。


昨日の朝まではボロアパートにいた私が憧れのブランドのワンピースを着て、大好きなジョルフェムのバッグを持って、隣には社長がいるなんて予想外すぎて、本当にこれは夢としか思えない。


「よし、いろいろ買い物も済ませたし、足りないものはまた追加で買えばいい」

「本当にこんなにたくさん買っていただいてすみません」

「全然。むしろもっと甘えていいんだ。みぃは気を使いすぎだ」

そう言って優しく微笑み、私のおでこを軽く弾く社長。後部座席には一年分かと思われるほどの服や靴。以前ですらこんなに持っていなかったというのに、あの紙袋がすべて自分の分かと思うとなんだか信じられない。

「じゃあ軽くどこかでご飯でも食べて、家に向かうか」

本当に私、社長の家でお世話になるんだ。昨日は気が動転していたけれど、やっぱりいざとなると本当にいいのかと戸惑ってしまう。
< 45 / 152 >

この作品をシェア

pagetop