冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「・・・そろそろ離してくれるか?さすがに俺も男だからこれ以上お前とくっついてるとやましい気持ちになってしまう」

「え?は、はい」


数分間、抱き合ったままの状態だったとはいえ、社長の発言に慌てて距離を取る。今になって私は今、自分がとんでもない状況にいるということに気づいた。ここは社長の家。


そしてここには私たち二人だけ。しかも私は家がないからとここに置いてもらっている身。ということは男女の関係になっても同意の上。


実は、私本当に恋愛初心者も初心者。キスはたったの一回だけ。しかも元カレという数にも入れたくないやつとしたそれっきり。


当然ながら未経験。二十歳を超えた大人の女のはずなのにその辺は高校生以下レベル。それなのに、そんな私が社長という大人の男性と一つ屋根の下で一緒に住むなんておかしすぎる。


「おい、お前は本当に顔に出るな。そこまで露骨な顔されると凹むぞ」


「ち、違います。嫌とかそんなんじゃなくて、その、私・・・経験がないので社長を満足させられるかわからなくて・・・。下手かもしれないですけどいいですか?」


「ぶはっ。そこまで覚悟してたのか。心配しなくても今はまだ手は出さない。ケガが治って、お前の気持ちが俺に追いついて自然とそう思えるようになったら奪ってやるよ」


「・・・あの、恥ずかしくて顔が熱いんですけど」
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