冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
ポッと熱くなった頬を両手で包み込む。本当に恥ずかしい。奪うって何?



涼と付き合っていた頃は全然こんな気持ちになったことなんてなかった。涼は私の元彼でファーストキスの相手でもある。


そもそも私たちは幼稚園からの幼馴染でお互い友達が彼氏と彼女ができて浮かれていたから、とりあえず私たちも付き合ってみようと言って付き合ったもの。


でも、漫画のように幼馴染の甘い恋になるはずもなく、気持ちが悪いから恋人関係はやめようと終わった。


あんなものをカウントに入れるのはおかしいけれど、恋になるかもと思ったのはあのときだけ。

もし、涼を本当に好きになることができたらと何度も思ったけれど、そんな気持ちで相手を好きになろうなんて思うこと自体間違っていた。


だって、私は今、好きになろうと思っていないのにどんどんと社長のことを好きになっているから。



社長はきっと私にケガをさせた責任を私への好意のように話してくれているだけ。



それなのに、私は社長の言葉や行動に一つ、一つドキドキさせられていた。



< 53 / 152 >

この作品をシェア

pagetop