冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
翌朝、携帯のアラームが鳴って目が覚めた。まだ頭が働いていない状態で、アラームを消すと、すぐ近くに社長の顔があってびっくりした。


昨日、二人でピザを食べた後、シャワーを浴びるときに約束させられたことを思い出してまた頬が熱くなった。


「そろそろ風呂でも入るか。その手じゃ体も洗えないだろ?俺が洗ってやろうか?」


「へっ?!いや、む、無理です。だ、大丈夫です。なんとか今朝もシャワー浴びましたし」


「遠慮するなよ。さすがにけが人に手を出したりはしないし、俺、裸眼ではほとんど見えないからそれならいいだろ?」


「む、む、無理です!」


社長というのは時折、人が予想もしないことを発言するものなの?裸眼で見えないからいいだろ?って何ー!


見えないなら洗えないのにどうやって洗うつもり?いやいやたとえ、見えないとしても絶対に無理だ。無理無理。


それなのに、なんだか寂しそうな表情を浮かべる社長にあまり全力で拒否すると返って罪悪感を感じてしまう。


それでも絶対に無理だけど。
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