冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
それなのに、今、目の前でエンジンを掛けようとしている男性は、とても焦っていて、見ているだけでも動揺が伝わってくる。あの日に見た人とは同一人物とは思えないほど。

私は、あの展示会の日以降、社長に対して本当にいいイメージがなかった。もちろん、こんなショップ店員が社長と関わることなんてあるわけないと思っていたけれど。

でも、やっぱりこれ以上お世話になるわけにはいかない。


「あの、社長。私、本当に大丈夫です。もちろん、大事にするつもりもありません。ですからご安心ください」



「もしかして、君はうちの社員なのか?なら、尚更だ。大切な社員を危険な目に合わせてしまった。すまない。すぐに病院に向かうから、シートベルトを締めてくれ」



「はい。ショップで働いています。それに本当に大丈夫です。ボーッとしていた私が悪いので・・・」
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