冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
だから、猫。猫だよ。猫と言い聞かせるもやっぱり、「俺が好きなのはみぃだけだ」なんて言われたら自分じゃないとしても照れるし、ドキドキする。

罪作りなみぃちゃんめ。こんなに社長の心を鷲掴みするなんて。


「みぃちゃんね。その可愛い可愛い愛猫のみぃちゃんには話すのかな?冷徹社長の秘密」


「今、それを言う必要はない。帰るぞみぃ。西原、今度こいつに余計なこと言うとどうなるかわかってんだろうな?」


「怖い怖い。こんなとこで冷徹社長見せないでよ。みぃちゃんじゃあね、次はまた一週間後に経過を診て順調なら通常生活に戻れるからね」


「はい、ありがとうございます」


手を振る西原先生を振り返ろうとしたけれど社長に腰を抱かれて、振り向くことすら出来なかった。私、猫の代わりのはずなのにどうしてこんなにドキドキさせられるんだろう。


腰を抱くなんて社長は慣れているのかもしれないけれど私は刺激的すぎてとてもじゃないけれど、固まってしまう。


「どうした?みぃ。疲れたか?甘いものでも食いに行くか。この辺に美味いケーキの店があるって西原が言っていたからそこに行こう」


好きになってはいけない。私は猫の代わりで尚且つこんなにも優しくしてくれるのは、きっと私にこんなケガをさせたからの罪滅ぼし。


それなのに、それなのに、こんなにもドキドキさせられて、好きになるななんていうほうがおかしい。


絶対に実らない恋だとわかっているのに加速度を増して社長に恋に落ちる自分を止めることなんて出来なかった。
< 60 / 152 >

この作品をシェア

pagetop